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** vanish into the blue **

身辺雑記。
郵活とか読書記録とか、日々の雑事を備忘録的に。
 
文字に宿る記憶の行方
0
    正木香子さんの『本を読む人のための書体入門』雑感の続き。



    書体が生む印象は、人の感性や想像力の問題であるはずなのに、
    昨今では、ある特定の感情を呼び起こすために書体が作られ、
    便利に多用されている。
    それを、正木さんは「ファストフードみたいな文字」と表現し、憂いている。
    この指摘にもはっとさせられた。

    「何もないところに人間の想像力が働くからこそ、言葉以上の凄みが生まれたり、
     存在しないはずの気配を感じたりするのです」(p.181)


    また、手書きの文字についても面白いことが書かれていた。
    その人の個性が表れる手書き文字は
    「その人だけがつかうことのできる特別なフォント」(p.110)であり、
    「まるでオリジナルの文体を確立するように、
     文字がひとつのスタイルをあらわしていて、
     読者は文字を通して作品世界に深く入っていくことができる」(p.110)
    そんな書体を、「オレ書体」(p.111)と表現している。

    先に紹介した平野甲賀さんの書体は、
    「コウガグロテスク」というフォントとして販売されたらしい。
    手書きの文字って、書いた人の性格が出る。
    (逆に性格とは正反対の文字を書く人もいて、それはそれで面白い!)
    家族や友人、同僚の文字は、だいたい見分けられるという人が多いのではないか。
    私の文字は汚くて辟易するけど、「誰でも自分の書体を持っている」(p.111)
    なんて素敵な言葉を読むと、まあいいのかな、と肯定したくなってきた。

    手書き文字について印象的な話がもうひとつ。
    書家・石川九楊の言葉を引いて、
    パソコンで打った文字(自分の書き文字ではない文字)は、
    「自省の美徳」が失われる、と。
    パソコンで書いた自分の文章は、どこか他人事のよう。
    自分の文章を客観視できることは、とてもいいことだけど、
    たしかに「自省」する気は起らない。
    これも、きちんと言葉にしたことはないけれど、
    誰もが感じていることかもしれない。


    最後に、正木さんの言う「文字の居場所」(p.174)について。
    人の記憶を呼び起こすような、そしてそんな共通の記憶を作り得るような文字が
    (書体を吟味するということも含めて)、今は大切にされているのか。
    ファストフード的な便利な書体に頼りすぎてはいないか。

    少し長いけど引用する。

    書体を選び、伝えるということは、
    他人とは違う感性を見せびらかすようなものではなくて、
    共感との出会いをつくること。
    人を思いやり、人を信じる気持ちが根本にあるのだと思います。

    同じ社会に生まれながら、
    別々の思いを抱えて生きる人々の心に「重なり」を見つけだす。
    それは同時に、時代を超えた新しい重なりをつくっていく、
    うことでもあるのではないでしょうか。

    なぜなら、文字そのものが、
    人びとの記憶になって残る大切な風景の一部なのですから。

    (pp.174-175)


    私たちは、本を読むとき、何かの情報を得るために文字を見るとき、
    無意識のうちに文字の中に記憶を見出そうとしている。奥深い文字の世界。
    読書好きが、その本の世界観にどっぷりつかることができるのは、
    文字そのものと私たちとが持つ共通の記憶のおかげなのだ。

      
    | 本・読書 | 22:17 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
    文字に宿る記憶を探る
    0
      私たちの周りには、文字があふれている。
      手書きのメモもあれば、活字もある。
      活字だって、一見同じように見えるけど、微妙に形が異なる書体がたくさん。

      書体。書の体裁、つまり目に見える文字のかたち。


      たとえば、これはブックデザイナー・平野甲賀デザインのブックカバー。



      ブックオカ2017のもの。
      太くなったり細くなったり、バランスが絶妙に崩れていたり。
      リズミカルで、なにかワクワクするような、
      インパクトを与える文字が躍っている。

      これが普通の良く見る「明朝体」で書かれていたらどうだろうか。
      「本のない人生」について、真面目に考え込んでしまいそう。



      正木香子さんの『本を読む人のための書体入門』(星海社新書2013.12)は、
      専門家ではなく、あくまで読者の視点から「書体」に着目した本。
      同じことが書いてあるのに、書体が違えば、印象が異なるのはなぜ?
      『ドラゴンボール』や「水曜どうでしょう」など、
      豊富な事例を挙げつつ検証していく本。


      何かを情報として伝えるのに、書体が違っても、情報の中身には変わりはない。
      平野さんのデザインほど強烈な文字が出てくれば別だが、
      普段、私たちはその文字が「明朝体」だろうが「ゴシック体」だろうが、
      さほど気にしないし、気が付かないこともあるかもしれない。

      だけど、それは本当は「気にしない」「気が付かない」のではなく、
      余計な先入観なく読める、気にならない書体が「選ばれている」のだ。
      少し特殊な書体で書かれていると、違和感が生じる。
      違和感は、ある感情を呼び起こす。
      ほほえましい感じだったり、怖い感じだったり、気持ち悪さだったり、
      悲しさだったり……。


      「書体」は文字の印象を生む差異である、と、正木さんは、言う。
      さらに、文字は「記憶を読む装置」である、とも。
      文字の形それ自体に宿る記憶、という考え方に目からウロコ。
      漠然としていて、言葉にはしにくいけど、たしかにあると思える。
      演劇や展覧会のポスターでも、内容に合わせて書体も違う。
      たとえ絵や写真がなくて文字だけでも、その書体から、悲劇なのか喜劇なのか、
      大人向けなのか子供向けなのか、だいたいの雰囲気が読み取れそうだ。
      (逆に読み取れないものは、デザインとして成功しているとは言えないのでは)
      私たちの中にある、共通の記憶や感覚によって、
      それ自体には意味のない書体から、さまざまな印象や感情が呼び起されるのだ。
      すごく腑に落ちた!

      この本、書店で出会って0.1秒ぐらいで購入を決めた(笑)
      書体の与える印象って、なんとなく気になっていたんだけど、
      それをこんなに腑に落ちるように書いてくださっている本があったとは。
      いやはや、この本を5年も見逃していたのが悔しい。

       
      | 本・読書 | 21:47 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
      続続・読書グッズ
      0
        しおりとともに欠かせないブックカバー。
        書店でいただく紙のものもいいけど、いろいろ揃えておきたい。
        気分や季節、本の内容などに合わせて選びたい。





        夏っぽい柄と青3種。
        青の真ん中のものはポケットついてて便利。
        付箋とペンを入れておく。
        飛行機柄は、旅行に連れて行きたくなる。




        これは台湾で買ったもの。
        伝統的な客家花布の柄(文庫サイズ)と、
        白っぽい単行本サイズのものは、迪化街にある印花楽で購入。
        レトロなモザイクタイル柄が可愛い。




        そして、こちらも台湾の客家花布。
        単行本サイズのバッグと見せかけて実は・・・




        ブックカバー!!
        外側にはポケットもついているし優秀!!




        色違いも購入しちゃった。

         
        | 本・読書 | 20:50 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
        原田宗典さんのサイン
        0
          遅ればせながら、原田宗典さんの新刊を入手。
          早く読みたいけど、味読待機本が多すぎて(苦笑)。



          装丁も素敵です。


          とりあえずは仕事が一段落したことだし、
          機能停止したままのわが部屋を片付けてからの話かな。


          先日、本棚を整理したときに出てきた原田さんの本。



          2002年上演の、
          <壱組印>プリゼンツ「劇的人生劇場」のパンフレットと原作本。
          原田さん作、草野徹さんの演奏、大谷亮介さんの一人芝居。
          私が初めて見た一人芝居でもある。
          今はなき新宿シアタートップスでの上演だった。


           

          裏表紙にお三方のサイン!!
          写真の大谷さんの姿も面白いし!!
          会場にいた原田さんに握手もしていただいたのは、いい思い出。
          少しカサついた分厚くて大きな手だった。

           
          | 本・読書 | 23:17 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
          馬語がわかれば・・・
          0
            北方謙三さんの『水滸伝』には、
            豹子頭林冲の愛馬・百里風や九紋竜史進の愛馬・乱雲ら、
            並居る豪傑たちに負けず劣らず大暴れする「馬」がたくさん出てくる。
            牧を取り仕切る金毛犬段景住、馬医者の紫髯伯皇甫端といった
            馬に関わる人物たちの、縁の下の力持ち的な活躍も、物語に奥行きを与えている。

            何の話か、というと。
            要は、北方水滸伝を読んで馬が気になって仕方がない、という話。
            百里風も乱雲も、その心情を語ることこそないものの、
            主と寄り添い、主を助け、時には主を叱咤する姿に、感動させられるのです!


            で。
            本屋で見かけて衝動買いしたのが、



            河田桟『馬語手帖 ウマと話そう』カディブックス 2012年

            ウマはどんなふうに話すのか?

            声を使う、というよりも、ボディーランゲージが中心だという。
            耳や目、鼻、口、しっぽ、首、脚、体全体を使ってコミュニケーションを図る。
            そのなかで、声が占める割合はおよそ5%らしい。



            イラストも可愛いんですよねぇ。
            何かをしてほしがっているときなど、馬は「かわいい目」をするとのこと。
            「かわいい目」って!


            百里風も林冲に「かわいい目」をするんだろうな、
            ・・・などと、水滸ロスがおかしな方向に行き始めた私です。


            ちなみに、カディブックスは、与那国島の小さな出版社だそうです。
            「カディ」とは与那国の言葉で「風」の意味とのこと。

             
            | 本・読書 | 23:07 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
            古田新太さん
            0
              古田新太さんの『魏志痴人伝』と『柳に風』読了。
              どちらも少し古い本(2008年と2004年)で、
              古田さんの身近にいる面白い人物や笑える出来事を綴るエッセイ集。

              その当時に古田さんが出演していた舞台やドラマの話題も
              ちょこちょこ出てきて懐かしかった。
              「大江戸ロケット」「天保十二年のシェイクスピア」「レッツゴー!忍法帖」
              「スタアの恋」「ぼくが地球を救う」「ぼくの魔法使い」などなど。
              自分が見ていたものもあったりして余計に懐かしい。

              古田さんの観察眼(役者ならではの?)と、
              その面白さを余すことなく書き綴る表現力(ツッコミ力!)は至高!
              何度目かの再読ではあったけど、
              『魏志痴人伝』は面白すぎて一晩で読んでしまった。

              ずるいなぁ、古田さん。
              こんなに面白くて、カッコいいんだもん。
              文章も上手いとか本当にずるい。

              殺伐とした繁忙期に笑いと脱力を提供してくれたありがたい本!!!
              「贋作桜の森の満開の下」今から楽しみです♪

               
              | 本・読書 | 20:56 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
              続・読書グッズ
              0
                お気に入りのしおり。




                金属製と革製。
                上の金属性のものは、台湾の誠品書店のオリジナルグッズ。
                並んだ本がクール!!
                革製のものは友人とお揃い(友人は赤)で買った思い出のもの。




                クリップで本に付けて紐を挟むタイプ。
                皮を剥いてる途中のリンゴと、カップから立ち上がる湯気。




                この3つは韓国で買ったもの。
                左のものは、しおりというかクリップみたい。
                買ったはいいけど、ページが傷つきそうで使っていない(笑)
                真ん中は、韓国の伝統文様や衣装など、種類が豊富。
                組紐(メドゥプ)の色もさまざまで、韓国にいくとついつい買っちゃう。
                かさばらないし、お土産にもいいんだよなぁ。
                右は、カラフルな家並がかわいい、プサンの観光地・甘川洞文化村の
                お土産屋さんで購入。




                無料配布の、紙のシンプルなしおり。
                展覧会ものは、ついつい持って帰ってきちゃう。
                左3つは高島野十郎展のもの。
                ルノワールのしおりは、福岡市美と北九州市美のコラボ展。
                右は、100均のマグネット式のしおりに、ココフセンを貼り付けたもの。
                これ我ながら重宝している。
                印をつけながら読みたい本に最適。

                 
                | 本・読書 | 22:27 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
                お気に入り読書グッズ
                0
                  お気に入りの読書グッズを紹介。
                  読書のお供に欠かせない、メガネ!!!




                  といっても、ただのメガネじゃなくて、




                  パッと開いて、




                  パタンとはさむ。
                  マグネット式のしおりです。
                  韓国の雑貨店で一目惚れして買ったもの。

                   
                   
                  | 本・読書 | 22:53 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
                  本棚整理問題
                  0
                    連休を使って、本(本棚)の整理をしていたのだけど、
                    ・・・終わらんかった!!!!!
                    そんなわけで今現在、部屋中に本が散らばっている状態。
                    (ジャンル分けしたくて、あちこちグループごとに床に積んでいる)
                    ヤバイ。さっさと片付けたい。

                    本をどう並べるか、本棚をどう作るかって、
                    旅出張本携行問題と並んで永遠のテーマ。
                    何をどうしても納得いく本棚ができる気がしない。
                    大型の本棚が並べられる広い部屋(とお金!)があれば!!

                    スペースが限られているなら、サイズ別が効率いいのかなぁ。
                    でも、文庫・単行本・新書・大型本もとりまぜて関連本並べたいなぁ。
                    オシャレなブックカフェみたいに表紙を見せて並べたり、
                    本に関連する雑貨とか飾ってみたり。

                    こうしたい、っていう、理想形はあるんだけど
                    現実の部屋のスペースを考えるとやれることは限られていて。
                    何か参考になるかと思って、以前読んだ
                    23名の、本棚に関するエッセイがまとめられたアンソロ
                    『私の本棚』(新潮社文庫 2013.2)をパラパラめくってみたけど
                    やっぱり参考にならないよね。
                    みなさん、レベルが違いすぎる。
                    本が必要な職業の方ばかりで、書庫用のお部屋を借りている方もいれば、
                    完全自分用カスタマイズの書庫を作ってしまう方もいる。
                    うらやましすぎる!!!!!

                    みなさん、増え続ける本と格闘し続け、
                    思うに任せない本棚事情を抱えてらっしゃるけど、
                    ちょっと、まあ、結局は不幸自慢というか(笑)
                    その苦悩、楽しんでるでしょ?という。
                    本好きあるある。



                    大好きな本の本。
                    ほんの一部。

                    開いているのは、クラフト・エヴィング商會『おかしな本棚』。
                    この本の「さいしょに」で、吉田篤弘さんが書いている
                    「人は本に記憶を託した」のだから、「どうせ覚えられないなら、何もしゃかりきになって読むことはない」、「その本がこの世に存在すると知っているだけでいい。読んだ本とまだ読んでいない本の差は、そういうわけで微々たるものです」
                    という言葉(↑超乱暴にまとめたけど)に勇気づけられて、
                    私は(読まない)本を買い続け、本棚はいつも余裕なしという状況。

                    整理できなくて苦しいはずなのに、楽しい。
                    ・・・Mなのかな?

                     
                    | 本・読書 | 21:15 | comments(2) | trackbacks(0) | - | - |
                    小澤征爾さん
                    0
                      倉敷へ行ったときに連れて行った本は、
                      村上春樹さんの『小澤征爾さんと、音楽について話をする』でした。

                      これは、村上さんと小澤さんの対談で、
                      タイトル通りに、ベートーヴェンやマーラー、
                      小澤さんの交流のあった音楽家
                      ――カラヤンやバーンスタイン、グールド、ゼルキンなどそうそうたる面々
                      などなど音楽について、お二人がいろいろとお話をする本です。
                      村上さんの音楽への造詣の深さと、
                      小澤さんの指揮論というか、音楽への向き合い方が、とても興味深い対談本。


                      ちょうどホテルでテレビ(ニュース番組)をつけていたら
                      アナウンサーが、「小澤征爾さん・・・」と言って、
                      変な間をあけたんですよね。
                      タイミングの良さにびっくりして慌ててテレビを見ると、
                      画面には小澤さんの写真。

                      え?えっ?って。

                      もう、ちょっと覚悟しちゃいましたよね(苦笑)。
                      え?入院してたよね?まさか・・・?って。

                      ご存知の通り、9か月ぶりに指揮に復帰したという、
                      喜ばしいニュースでした!!!!!
                      ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第16番第3楽章を約10分間指揮したとのこと。
                      映像では、だいぶお痩せになっていて、座っての指揮だったものの、
                      途中立ち上がって情熱的なアクションを見せる場面も。


                      この本が刊行されたのは、2011年(2014年文庫刊行)。
                      2009年、小澤さんに食道がんが見つかった後のこと。
                      何度かの手術を経て、小澤さんは復帰しては療養に戻る、ということを
                      繰り返しながら、本格復帰をを目指されています。

                      そのことを、村上さんは

                      この人はそれをやらないわけにはいかない。なぜなら小澤さんにとっては音楽こそが、人生を歩み続けるための不可欠な燃料なのだから

                      と書いている。
                      さらに、ちょっと長いけど引用すると、

                      [音楽を生き生きと作ることで]この人は自分が生きているという本物の実感を得ているのだ。誰にそれを「やめろ」ということができるだろう?(中略)でも体力を振り絞ってすっくと指揮台に立つ小澤さんの姿を見ると、そんなこと[充分な休養ののちに復帰しては?]はとても口に出せなくなってしまう。それを口に出したら、結局は嘘になってしまうという感覚が僕の中にあった。簡単に言ってしまえば、この人はそういうまっとうな考え方を超えた世界で生きている人なのだ。野生の狼が深い森の奥でしか生きられないのと同じように。
                      (新潮文庫版 p.27)

                      とも。

                      いつか、生で小澤さん見たいなぁ。
                      CDは、サイトウキネンオーケストラのものをいくつか持っていますが。

                      まだ本は途中。
                      これからもどんな話が出てくるのか楽しみ。


                      それにしてもN○Kのアナウンサー、
                      心臓に悪い間のとりかたをしないでほしい・・・。

                        
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